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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

洋上のガラス壜 

2020/05/27
Wed. 02:41




ずっと昔、仲間たちと船で沖釣りに出た。

釣りとは言うものの、本格的にやろうとしているのは、船主の友人ともう一人くらいで、あとは日光浴半分、釣り半分といった態だった。



IMGP2874.jpg



陽はまだ高いところにあったが、そろそろ帰ろうということになった。

そのとき、「流していいかな」と友人の一人が小さなガラス壜を私に見せた。

壜の中には紙片が折りたたまれて入っていて、コルク蓋の部分は蝋で密封してあった。

「なんて書いたの」と訊くと、静かな笑みを浮かべて、友人は首を振った。

潮の流れを船主に尋ねた。

広大な太平洋のど真ん中に向かって流れている。と彼は言った。



 

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2020-05