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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

からあげどおり 

2012/07/28
Sat. 03:11



「からあげどおり」。
その通りを友人はそう呼んだ。

駅からアパートまで帰る途中の、表通りから外れた薄暗い細道に、小さな唐揚げ専門のお店があった。
老夫婦が営むそのお店は、鶏ももの唐揚げが紛うことなき絶品で、揚げられたばかりの衣のテクスチュアは、しゅわしゅわ感とかりかり感が混在していて、それを破って出てくる熱々の肉汁とのせめぎ合いは、もう見事としか言いようのないものだった。

「揚げたて」の札が立っているときは迷わず買った。
「こんにちはー」がいつの間にかひとつの符牒になってしまっていて、私が店先でそう言うと、おばあちゃんはにっこり笑って300グラム前後の唐揚げを油紙に包んでくれるのだった。
その通りをあと5分も歩けば家に着いたが、揚げたてはすぐに食べなければその旬を逃してしまう。
人通りの少なさと、まだ学生の気安さをいいことに、包みから出しては歩きながらはふはふして食べた。
友人は、私の歩き食いをはじめこそ窘めたものの、揚げたての魔力を滔々と語る私についには根負けし、こっそり頬張るまでに、それほどの時間はかからなかった。

「からあげどおりだね」
友人は楽しそうにそう言った。



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最近、茹であげのトウモロコシが主食のようになっています。

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2012-07