ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
未知の音を奏でる彼(後)
2013/07/21
Sun. 01:41
<承前>
ある島の出身の子だった。
その子と一緒にいた同じ地方の仲間の言葉はちゃんと解るのだが、その子の言葉だけ一般名詞以外まったく理解できない。ちょっとした衝撃を受けるほど未知の言葉だった。
でも、その子の言葉は彼の友人たちにはちゃんと当たり前に通じていて、それがまた驚きなのだ。たとえて言うと、日本語とスワヒリ語で何の問題もなく会話しているようなものだった。
私はその解らない言葉を最後まで解らないとは言えず、途中で出てくる一般名詞と、彼の友人の言葉の端々から推測して「だよねー」とか「OK、OK」とか、半笑いになりながら当たり障りのない言葉で取り繕うことしかできなかった。

ボーイスカウトが持つ手帳があって、そのジャンボリーで知り合った多くの人たちから名前と住所を書いてもらったのを覚えている。
そして、いまふと思い出したのだが、台湾やアメリカの住所もあった気がするのだ。人は全然思い出せないのだけれども。
薄情なやつだと自分でも思う。
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