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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

あめつちの 

2014/10/07
Tue. 04:12



今朝の大雨によって近くの坂の中腹にある小さな畑の囲いは欠壊し、肥えた赤土はただの土砂となって坂を荒々しく流れ降りていた。
作物は流された後だったのか、それともまだ何も育てられる前だったのか窺い知ることはできなかったが、畑はすでに「畑だった所」でしかなかった。

叩きつける、耳だけでなく視界すらおかしくなってしまうような雨の音と、その濁流の禍々しい音の共演は、自分の心の中に不思議と静かな場所をつくった。

何年か前の情景がすっと立ち上がった。

一面の、雨に翳む白いそばの花の風景だった。
雨に打たれる小さな花はこくこくと絶え間ない頷きを繰り返し、大地はひっそりと豊かさを増していた。
傘に当たる雨音しかそこには無かった。

濁流を渡り終えるとその静かな情景もすぐに消えた。
激しい雨の音だけがしていた。



IMGP3119.jpg



あめつちの「あめ」は「雨」じゃないよ。
「つち」も土じゃないよ。
元をたどれば同じかもだけど。


 

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