ASHINO KOICHI +plus
彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ
夕立ち90s
2015/07/17
Fri. 15:04
みるみる辺りは暗くなって、激しい雨が降り始めた。
自転車を降り、シャッターの閉まった店の軒先に入った。
雨が止むまで読書でもしていようと、リュックに手を突っ込んで本を探っていると、事務員姿の女性が同じ屋根の下に逃げ込んできた。
私は手にとった本をリュックに戻し、「ひどい夕立ちですね」と言った。
「ほんとに、まったく!」と持っていたハンドタオルで首筋や腕を拭きながら彼女はにこやかに言った。
その後に続けて何かを彼女は言った。しかし、彼女の発した言葉は、目の前の道路を水しぶきを上げて通過していった車の音でかき消され、私の耳には届かなかった。
雨の向こうの空には美しい夕焼けが見えていた。

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