fc2ブログ

ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

お食い初め 

2015/12/15
Tue. 03:05




「『お食い初め』は年長者がやるの。その家のおじいちゃんとか。あしのさん、この中で一番おじいちゃんでしょ、だからあしのさんがやるの」


周りはみんな僕よりひと回りほど若かった。たしかにおじいちゃんだな、と思う。僕だって、多少若い頃の自分に目を戻してみれば、ひと回りも上の人はみんなおじいちゃんとおばあちゃんだった。下から見るひと回り上と、上から見るひと回り下は、絶対値が同じではないのだ。そこには大きな隔たりがある。まあ、でもその隔たりは、知り合いか、そうでないかでだいぶ違うのだけれど。

フランスから友人が家族連れで帰ってきたのだ。
前回は、ご主人、ご子息、3人での帰国だったが、今年は9月に生まれたばかりの姫を連れての4人。
ちょうどその姫が生まれて百日目ということで、日本伝統の「お食い初め」の儀式を執り行ったのだった。
これからその子が一生食べ物に困らないようにと願う儀式らしい。

アクアパッツァで調理された立派な真鯛の身をほぐし、見栄えの良い大きな部分を新しい白木の箸で取り、赤ちゃんの口へと運んだ。食べさせる真似をするだけで、もちろん食べさせはしない。

姫は、鯛の身を見、そして僕を見、にやっと笑った。
日本のじいじ、お務めご苦労。というふうな笑顔だった。



33.jpg



その最初の箸の鯛の行方がいまふと気になったのだが、たぶん僕が美味しくいただいたのだろうと思う。
これからの人生、食いっぱぐれがないといいのだが。


  

[edit]

CM: 2
TB: 0

page top

2015-12