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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ




十代のころ、仲のよい女の子がいた。
その子は、近くの川原で打ち上げられる花火を見に行く時はかならず浴衣を着た。
毎年違った浴衣だった。
夏が来るたびに新調しているのか、姉妹で着まわしていたりするのか、それとも誰かのおさがりなのか訊きもしなかったが、朝顔だったり、知らない花だったり、花火がモチーフになった浴衣は、夏の夜の闇と出店の明かり、人混み、花火の音、歓声にとても似合っていた。



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僕は、Tシャツに短パンという何の風情もない恰好で、屡々その子の後ろを意図して歩いた。
普段とまったく違う歩き方が好ましかった。
浴衣の上で揺れるポニーテールを見るのも、浴衣の色に合った、大きな蝶のような帯の結び目を見るのも、背に回して組んだ手から下がって、歩くたびにぴょこぴょこ跳ねる巾着を見るのも好きだった。
後ろを歩いている僕をその子は度々振り返って確認した。
そして、よしよしちゃんと付いてきているな、よろしい。とでもいった表情でにこりとするのだった。
その振り返ったときの横顔と体が成す線は、菱川師宣の絵に勝るとも劣らないものがあったような気がする。



 

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