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ASHINO KOICHI +plus

彩書家・蘆野公一の日々のつれづれ

換気扇(後) 

2023/06/25
Sun. 00:19




学生の頃に住んでいたアパートの換気扇は、ガスレンジ上部垂直取り付けの、4枚の羽根が剥き出しになったものだった。
スイッチは垂れ下がった紐で、油でつやつやになったその紐を引っ張ると、羽根が回るのと同時に外に面したパネルが開き、轟音とともにキッチン内ばかりでなく部屋中の空気を否応なく外に排出してくれた。
簡便、実直という言葉がぴったりくる代物だった。
安普請のアパートが立ち並ぶ一帯は、どこも似たようなもので、それぞれのごはん時、それぞれの調理する様々な料理のニオイが立ちこめた。



IMGP5204.jpg



そんな住居事情を詳しく知る友人は、意図して、夏の暑い夜にくさやの干物をもって泊まりに来た。
深夜、私は、付近の窓全開の人たちに申し訳ないと思いながら、くさやを焼いた。
うちで焼いていることがばれませんようにと祈りながら、くさやを焼いた。
近隣から上がる「くせえよ!夜中だぞ!」という声や、窓やカーテンを勢いよく閉める音などを聞きながら、くさやを焼いた。



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